いわずと知れた住吉の長屋
建築家 安藤 忠雄氏の初期の作品です。
(1976 大阪)
雨の日は傘をささなければ、トイレにも行けない。とか設計者の横暴だとか、かつてはいろいろ揶揄される事が多かったようですが、この住宅を実際に体験すると、空間の豊かさに感嘆させられます。
中庭は、外部から完全にプライバシーが保たれた空間でありながら、空という無限遠まで解放され、自然光が十分に注ぎ込む。
視覚的効果が計算され尽くされ、間口は躯体芯で3.3mと2間にも満たないが、圧迫感は感じさせられない。
玄関を入ると、あたかもポーチに入ったようですが、実は外部空間で屋根がなく、見上げると空へトンネル状になってます。閉塞感のあるポーチを曲がって戸内に入ると、部屋(リビング)の向こうに、光が差し込む中庭が見えます。
その中庭の向こうにはダイニング。
敷地の長手方向は、リビングエリア、中庭エリア、ダイニング水廻りエリアで4.7mずつ3分割され、合計で14.1mです。
長手方向を見通せれることによって、かつ、空へのアプローチもあり、開放的であり、自然と一体になれるような感覚を得ることができます。