京都市 歴史遺産型美観地区(一般地区)

京都市は景観条例によりさまざまな地区を指定して、それぞれの地域に、それぞれの意匠的な規制を設けています。

ここでは、そのうちの歴史遺産型美観地区(一般地区)における住宅について考察したいと思います。

歴史遺産型美観地区(一般地区)の規制

【住宅等の低層建築物】

屋根
・特定勾配(軒の出は60㎝以上)
 屋上緑化等により良好であると認めれらればなくても良い。
・原則として、塔屋等は設けない。

屋根材料等
・日本瓦(いぶし銀)、銅板(素材色又や緑青色)又はこれらと同等の風情を有するもの。

軒庇
・道路に面する1、2階の外壁には特定勾配の軒庇(軒の出は60㎝以上)を設ける。

外壁等
・道路に面する外壁は、歴史的な街並みや伝統的な建造物と調和する形態意匠とする。又、その外壁は、街並み景観に配慮されたものとする。

・道路に面する3階の外壁面は、1階の外壁面より90㎝以上後退する。ただし、道路に面する外壁面を道路から十分に後退させ、かつ、道路に沿って門又は塀等を設置することにより街並みに配慮された場合は、この限りではない。

色彩
・歴史的街並みと調和する色彩とする。

その他
・道路や河川に面し、駐車場等の解放された空地を設ける場合は、周囲の景観と調和した門又は塀等を設置する。

【 全体的考察 】

京都市の街並みは道路側を正面とし重視する特徴的な街並みなので、それを十分に意識したものとし、街路の壁面線に注意し原則として平入りとする。
道路に面する1階の軒ひさし下端、若しく塀等の高さは、2100mmとしたいです。
日本人に身体的感覚としては、落ち着きのある高さです。

屋根
街並み形成のためには他の建物と勾配を合わせる方針としたいですが、特定勾配の範囲でできるだけ勾配を小さくしたいです。
京都市の緯度は、おおよそ北緯35°であるので、
 夏至日の太陽高度 78.5°
 冬至日の太陽高度 31.5°
及び、外部建具の高さを考慮して軒の出を決定する。

屋根材料等
いぶし銀の日本瓦は、それはそれで、風情もありよいものですが、現代的感覚からすると重々しいものとなり、耐震性においても、コスト的にも不利となるので、同等となる風情のあるもので検討したいと思います。

軒庇及び外壁等
基本的には2階建とし、1階部分の軒庇と大屋根の軒の出で対処したいと思いますが、場合によっては90㎝以上外壁後退を2階部分にも設け、道路側への圧迫感を解消したいと思います。

バランスにもよりますが、1階の庇の出は大屋根の庇よりも深くしたいです。

色彩
色彩は、可能な限り着色のない自然素材を選定したいですが、塗装する場合は、色相に応じて、彩度の規定が細かく規定されています。その中でも、できるだけ街並みが暗くならないように配慮したいと思います。

その他
街並みの状況にもよりますが、可能であれば、塀や植栽生垣及び門を設けて、街並みに配慮し防犯性も高めたいと思います。