住宅性能表示制度というのをご存知でしょうか?
住宅性能表示制度とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にもとづいて、平成12年10月にスタートした制度です。
住宅性能表示制度は任意の制度です。
住宅性能表示制度は義務づけを伴うものではなく、共通ルールに基づいて性能を表示するか、第三者機関に評価を依頼するかどうかは、住宅を取得しようとる建築主の方や、住宅を作成する工務店の方、販売者などの任意の選択に委ねられます。
2つの共通ルールが定められています。
法律にもとづいて、住宅の性能を表示するための共通ルールとして日本住宅性能表示基準が、また、住宅の性能の評価の方法として評価方法基準が定められています。
あなたの住まいの性能チェック
住宅性能表示制度が、あなたの安心をサポートします。
①第三者機関の評価が受けられます。
客観的な評価を実施する第三者機関が「登録住宅性能機関」として登録されています。登録住宅性能評価機関は、申請に基づき、評価方法基準に従って住宅の性能評価を行い、その結果を住宅性能評価書として交付します。
住宅性能評価書には、設計図書の段階の評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」と、施工段階と完成段階の検査を経た評価結果をまとめた「建設住宅性能評価書」との2種類があり、それそれ法律のもとづくマークが表示されます。
②住宅性能評価書の内容を契約に活かせます。
登録住宅性能評価機関が交付した住宅性能評価書やその写しを、新築住宅の請負契約書や販売契約書に添付すると、住宅性能評価書の記載内容が契約されたものとみなされます。
・注文住宅の場合、設計が終わった段階で、設計住宅性能評価書の内容を請負契約に反映することができます。つまり、表示された品質を確保するということが担保されることになります。
・完成前分譲住宅の場合、設計住宅性能評価書の内容を売買契約に反映することができます。
・建売分譲住宅の場合、建設住宅性能評価書の内容を売買契約に反映することができます。
※設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の内容は、原則として同じ品質になるもので、施工段階でやむをえず品質の等級が下がってしまうことも考えられますが、私の今までの経験上はありません。
そうならないように、工務店や建築工事監理者が十分に現場管理及び監理を行う必要があります。
③円滑、迅速で、専門的な紛争処理が受けられます。
建設住宅性能評価書が交付された住宅については、指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)に紛争処理を申請することができます。
指定住宅紛争処理機関は、裁判によらず住宅の紛争を円滑・迅速に処理するための機関でし。建設住宅性能評価書が交付された住宅の紛争であれば、評価書の内容だけでなく、請負契約・売買契約に関する当事者間のすべての紛争の処理を扱います。
紛争処理手数料は1事件あたり1万円です。
④日本住宅性能表示基準のポイント
1) 日本住宅性能表示基準は10区分・33項目(令和5年8月現在)から成り立っています。
① 構造の安定に関すること
② 火災時の安全に関すること
③ 劣化の軽減に関すること
④ 維持管理への配慮に関すること
⑤ 温熱環境に関すること
⑥ 空気環境に関すること
⑦ 光・視環境に関すること
⑧ 音環境に関すること
⑨ 高齢者等への配慮に関すること
⑩ 防犯に関すること
こうした項目は、次にような考え方にもとづいて設定されました。
・評価のための技術が確立され、広く利用できること
・設計段階で評価が可能なものとすること
・外見からでは容易に判断しにくい事項を優先すること
・住居者が容易に変更できる設備機器などは原則ておして対象としない
・客観的な評価が難しい事項は対象としない
2)性能表示項目にはそれぞれ適用範囲があります
基準は、新築住宅を適用対象としています。既存住宅については、限定的に対象可能な項目があります。また、性能表示項目の中には、一戸建ての住宅には適用されず共同住宅等のみに適用されるものや、特定の地域のみ適用されるものもあります。
3)表示される等級や数値などの意味
性能表示項目は、等級や数値など表示されます。等級は大きいほど性能が高いことを表すように設定されていますが、性能の高いことがただちにどの居住者にとっても最適なものになるとは限りません。自らのライフスタイル、工事費、地域の気候・風土、デザインや使い勝手など、基準の対象となっていない個別の事情などを考え合わせて、性能の最適な組み合わせを選択することが大切です。内容を十分に吟味しないで、等級が高いものや数値のよいものだけをむやみに選択したり、要求したりすることが合理的とは限りません。
4) 性能表示項目間でトレードオフの関係にある場合があります
トレードオフの関係とは、ある性能表示項目について性能を高めると、他に性能表示項目について性能が悪くなるといった関係をいいます。このような点についても配慮して合理的な性能の組み合わせを選択する必要があります。
5)表示される等級や数値などは、設計段階で予測できる範囲内のものです
住宅の性能は、さまざまな要因によって予測の難しいものもありますので、住宅全体の性能を直接の対象とするのではなく、住宅のうち特定の部分の性能や、具体的な対策の程度に置き換えて、基準を設定している場合があります。
表示される等級や数値などは、このようにして設定して評価方法基準に従って評価された結果であり、この範囲に加えて何か特別な約束、例えば居住者の実感や実測結果の程度について保証を行うものではありません。
6) 評価方法基準では維持管理や気象の条件等に一定の前提を置いています、
住宅の性能は、地域の環境や住まい方、維持管理の仕方によって大きく影響を受けます。これらの影響を排除したり、評価の段階で把握したりすことこは難しい面があります。そこで、評価方法基準では、標準的な気候条件や一般に行われる維持管理条件などを想定して、何らかの前提を設けている場合があります。
7) 住宅の構造種別により評価方法を区分して設定している場合があります。
住宅の構造種別は、大きく分けて、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造などといった構造種別があります。性能表示項目や表示の方法は、住宅の構造種別によらず共通のものを設定していますが、評価方法基準では、構造種別ごとに異なる材料の特性を踏まえた、各々にふさわしい方法を採用している場合があります。
8) 建築基準法の規制内容と関連のある性能表示項目があります。
住宅性能表示制度の性能表示項目には、建築物の最低限の水準を定める建築基準法の規制内容と重複する項目と、独自に定める項目とがあります。建築基準法に定める基準にのみ適合するものについては、「等級1」の評価を受けることになります。
9) 住宅の性能は、時間とともに変化します。
住宅の性能は、完成した時点から、時間とともに変化します。このような変化が進む速さや程度を正確に予測することは困難です。評価方法基準により評価された内容の多くは、あくまでも、評価を行った時点(完成段階)のものである、このような経年変化の影響を考慮したものではありません。
⑤登録住宅性能評価機関の行う性能評価のポイント
1) 建築基準法の基準に適合しない住宅は、評価の対象にはなりません。
建築基準法で定める基準を下回る住宅については、違法と考えられるので、住宅性能評価書は交付されません。
確認申請書と性能評価申請を同時に申請してどちらも審査中であっても、確認済証が交付されなければ、設計性能評価書は発行されません。
また、建築基準法により工事の完了時に検査済証の交付を受けることが義務付けられている住宅でありながら交付を受けていないものは、建設住宅性能評価書をの交付を受けることができません。
2)住宅性能評価のコスト
登録住宅性能評価機関が行う性能評価は、住宅の規模や特性によって一律ではありません。
登録住宅性能評価機関の評価料金は機関が独自に設定していますが、その審査機関で行われる審査費用(建設評価の場合は数回の現場検査含む)と、住宅性能評価申請書(設計及び建設)を作成する費用が発生します。
設計事務所や工務店の見積費の中に含まれている場合もありますが、いずれも、建築主の負担となります。
3) 現場にける検査の時間、回数
登録住宅性能評価機関が行う、現場検査は3階建て以下の住宅の場合、原則として4回あります。4階建て以上の住宅の場合は、階数に応じて検査の回数が増えます。
4) 検査は工事の記録書類及び記録写真の確認、現地実物の検査を併用します。
登録住宅性能評価機関は、検査の時期までに行われた工事の内容を、施工の管理を行う責任者などが作成する工事報告書や記録書類及び写真を確認するとともに、現地にて実物の目視、検測などによって検査をいます。
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設計事務所、工務店などで作成された設計図から設計性能評価申請書類の作成、及び性能評価申請用設計図書に記載すべき内容のアドバイスをする業務を行っています。
詳しい内容は、メールをいただければ、ご案内をお送り致します。
mail:住宅性能評価業務の件
よろしくお願いいたします。