-- 勾配、仕上げ材 --
一般的な住宅においては、階段は上下の階をつなぐための機能として最小のスペースしか与えられていない場合が多く、その広さも幅半間 × 長さ1間半、勾配も45度に近いという非常にきびしい条件で設けられている場合が多いようです。
しかし、高齢者も利用して安全であるためには、勾配はできるだけゆるやかにして、段の高さ(「蹴上げ」といいます。:R)は 150mm程度、踏面 250mm程度(:T)、蹴込み 20mm程度とします。
住宅性能評価によると、
・勾配 6/7以下(ホームエレベータがある場合)
・勾配22/21以下、踏面195mm以上
(ホームエレベータがない場合)
・550mm ≦ 2R+T ≦ 650mm
・蹴込寸法 30mm以下
・蹴込板設置
となっています。
また、蹴込板は必ず付け、段の先端(段鼻)は蹴込板より出さないようにします。そしてノンスリップ(すべり止め)を付ける場合は、ノンスリップが踏面及び蹴込板面と同一面となるようにします。
次に材質ですが、これはすべりにくく、つまずきにくい材料を条件とします。たいていは廊下やホールから上がり下がりするので、その延長として材質は木質系のフローリングや寄木ブロックがよく使われますが、必ずすべりにくい仕上げとします。
簡易なものでは、デザイン性には欠けますが段の先端に両面テープで接着できるノンスリップも出ているので、すぺり止めには役立ちます。
また、最近よく使用されるものにコルクタイルがあります。コルク樫の樹皮組織をとって加工した品で、保湿性や耐水性にも富み、床暖房にも適していて、老人室やリビングルームまで広く使われています。ほかに毛足の短いカーペットを踏面、蹴上げと巻き込んで敷いていく方法も多く使われますが、これもすべりにくい材料として利用されています。